佐藤究の小説を読みたいけど、どれから読むのがおすすめ?
刊行順に読めばいいの?それとも最新刊から?
佐藤究さんの小説をはじめて読むなら
①『QJKJQ』
①『Ank: a mirroring ape』
②『テスカトリポカ』
③『爆発物処理班の遭遇したスピン』
④『幽玄F』
⑤サージウスの死神
⑥トライロバレット
の順がおすすめです。
佐藤究さんといえば『テスカトリポカ』で直木賞を受賞したことで有名です。
素晴らしい作品ばかりですので、どの作品から手を付けていいか分からなくなっている方へ向けて
全ての作品を読んできた私が僭越ながら、おすすめの読む順番をお伝えいたします。
佐藤究さんの世界を最も堪能できる順番でご紹介します。
おすすめの読む順番
さっそく読みたい!方のために、先に順番をお伝えしておきます。
はじめて読む方へ、まず読むべきは次のどちらかがおすすめです。
あらすじなどを見て興味を持った方から読んでください。もちろん二冊とも読んでいただいて構いません。
佐藤究さんの作品の中でもとびきりキャッチ―なエンタメ小説です。
①『QJKJQ』
おすすめ度★★★
読みやすさ★★★★
①『Ank: a mirroring ape』
おすすめ度★★★★
読みやすさ★★★
上記の二冊で腕慣らしをしたら、次は直木賞を受賞したこちらの作品を読んでいきましょう。
いまのところ三冊とも表紙が黒くて怖いですね。
②『テスカトリポカ』
おすすめ度★★★★
読みやすさ★★★
読めば読むほど味が出てきます。繰り返し読むのもおすすめです。
ここまで読み切ると、佐藤究さんの小説はすべて読んでやろうとう気持ちになります。次に読むのは短編集です。
実際に私も『テスカトリポカ』を読み終えたくらいで、『爆発物処理班の遭遇したスピン』が刊行されてすぐに買いに行きました。
③『爆発物処理班の遭遇したスピン』
おすすめ度★★★
読みやすさ★★★
そして次は『幽玄F』を読みましょう。
実は癖が少なくてさっぱりした面ももつこの小説を、初心者の方なんかは入り口にしてもいいんじゃないかと迷いましたが、
佐藤究さんの世界観を堪能してからの方がより面白く読めるんじゃないかと思い直しこの順番になりました。
④『幽玄F』
おすすめ度★★★★★
読みやすさ★★★★★
ここまでくると、ネットで「佐藤究 最新刊」を検索し続ける日々が始まります。
下記の本を読んで待ちましょう。
⑤サージウスの死神
おすすめ度★★★
読みやすさ★★★
⑥トライロバレット
おすすめ度★★★
読みやすさ★★★
どれも素晴らしい作品です。
最新刊が出るのを楽しみにしています。
では、一作ずつ簡単にご紹介していきます。
①『QJKJQ』
▼あらすじ
女子高生の亜李亜は、猟奇殺人鬼の一家に生まれ、郊外でひっそり暮らしていた。父は血を抜いて殺し、母は撲殺、兄は咬みついて失血させ、亜李亜はナイフで刺し殺す。ところがある日、部屋で兄の惨殺死体を発見する。翌日には母がいなくなり、亜李亜は父に疑いの目を……。第62回江戸川乱歩賞受賞の長編ミステリー。1
まるでハンターハンターのゾルディック家のような設定の家に生まれた女子高生の話。
父母兄がみんな殺人鬼で、自分もスタッグナイフで人を殺す。
それが自分の日常だった。兄が殺され、母がいなくなり、いつもと違ったのはいつからだったのか。
常識を疑い、自分自身さえ疑い、何が現実か分からなくなる。
有栖川有栖さんの書評がとてもしっくりくる。
主人公が「あるもの」を発見したところから物語はどんどん転がり始め、ファンタジーかと思うような広がりを見せて、ナンセンスな法螺話になる寸前で身を翻し、主人公のアイデンティティを攪乱させたかと思うと、人類の原罪を剔抉せんとしてミステリ的に意外な真実へ収斂するという具合で、読む者を引き回す
佐藤究『QJKJQ』講談社2018年386頁
文庫版で400ページないくらいの分量で読みやすく、扱うテーマも「殺人鬼」ということで興味を引きます。
感想はこちらにも書いています。ぜひ合わせてお読みください。
仕事に疲れた社会人へ。佐藤究『QJKJQ』をおすすめする理由 | ひのとみ書店
①『Ank: a mirroring ape』
▼あらすじ 2026年、京都で大暴動が起きる。京都暴動(キョート・ライオット)──人種国籍を超えて目の前の他人を襲う悪夢。原因はウイルス、化学物質、テロでもなく、一頭のチンパンジーだった。未知の災厄に立ち向かう霊長類研究者・鈴木望が見た真実とは……。吉川英治文学新人賞・大藪春彦賞、ダブル受賞の超弩級エンタメ小説!2
京都で急に人々が暴れ始める。それもゾンビのようにわき目もふらず人を襲い続ける。
『QJKJQ』もミステリというよりはエンタメ小説ですが、『Ank: a mirroring ape』では映画を見ているような臨場感と緊迫感を楽しめるエンタメ小説です。
舞台が京都ということで、地名が分かるとより楽しめます。
なぜ暴動が起きたのか、その直接的な原因と、人類の進化の面から見た原因が霊長類研究者によって、かつての論文から解明されていく。
生物学的な人類の進化に関わる話が多く出てきます。実際の研究にフィクションを交えていく、どこまでがリアルでどこまでが虚構なのか分からないSF的な作品です。
佐藤究さんの小説に共通することですが、グロテスクな描写も多いので注意です。
②『テスカトリポカ』
▼あらすじ メキシコで麻薬密売組織の抗争があり、組織を牛耳るカサソラ四兄弟のうち三人は殺された。生き残った三男のバルミロは、追手から逃れて海を渡りインドネシアのジャカルタに潜伏、その地の裏社会で麻薬により身を持ち崩した日本人医師・末永と出会う。バルミロと末永は日本に渡り、川崎でならず者たちを集めて「心臓密売」ビジネスを立ち上げる。一方、麻薬組織から逃れて日本にやってきたメキシコ人の母と日本人の父の間に生まれた少年コシモは公的な教育をほとんど受けないまま育ち、重大事件を起こして少年院へと送られる。やがて、アステカの神々に導かれるように、バルミロとコシモは邂逅する。3
佐藤究さんの小説の中では最も有名な著作である『テスカトリポカ』です。
ミーハーな方は『テスカトリポカ』から読んでみてもいいかもしれません。
ただ、初心者の方が初見で読むには分量も多く、内容も暗くて重たいので、『QJKJQ』や『Ank: a mirroring ape』を先に読んでおくのがおすすめです。
『テスカトリポカ』『QJKJQ』『Ank: a mirroring ape』は鏡三部作と呼ばれたりもしますが、すべて独立した作品ですので読む順番は問いません。
しかし、「鏡」というモチーフが共通しているということを頭に入れておくとより楽しめると思います。
『テスカトリポカ』は、メキシコの麻薬密売人と天才外科医が出会うことによって生まれた悪夢を描いていますが、そこにアステカの神々への信仰や、強靭な体躯を持つ少年など加わり、悲劇は加速していきます。
よくもまあこんなすごい小説が書けるものだと思います。
③『爆発物処理班の遭遇したスピン』
▼あらすじ
「ミステリ×SF×怪物」が開くのは「世界」の扉
小説の最前線、ここから前人未到、読み逃し厳禁
きっとアナタも究中毒になる―
爆発物処理班の遭遇したスピン…鹿児島県の小学校に、爆破予告が入る。急行した爆発物処理班の駒沢と宇原が目にしたのは黒い箱。処理を無事終えたと安心した刹那、爆発が起き駒沢は大けがを負ってしまう。事態の収拾もつかぬまま、今度は、鹿児島市の繁華街にあるホテルで酸素カプセルにも爆弾を設置したとの連絡が入った。カプセルの中には睡眠中の官僚がいて、カバーを開ければ即爆発するという。さらに同時刻、全く同じ爆弾が沖縄の米軍基地にも仕掛けられていることが判明。事件のカギとなるのは量子力学!?他に、日本推理作家協会賞短編部門候補「くぎ」、「ジェリーウォーカー」「シヴィル・ライツ」「猿人マグラ」「スマイルヘッズ」「ボイルド・オクトパス」「九三式」を収録。4
表題作の「爆発物処理班の遭遇したスピン」が好きです。
量子力学を扱った作品で、SF色が強いです。
④『幽玄F』
▼あらすじ 空と、血と。――空を支配する重力・Gに取り憑かれ、戦闘機F35-Bを操る航空宇宙自衛隊員・易永透。日本の戦後、そして世界の現在を問う、直木賞受賞第一作にして超弩級の著者最高傑作。天才パイロットが戦闘機Fと共に辿る、数奇な運命とは――。
「ただ私は戦闘機という機械に乗りたかっただけで、その戦闘機の飛ぶ空が〈護国の空〉だったのです」
構想5年、直木賞・山本周五郎賞W受賞の『テスカトリポカ』から2年――。
日本の戦後精神の支柱「三島由紀夫」に挑んだ、佐藤究・圧巻の第4長篇5
『テスカトリポカ』も『QJKJQ』も『Ank: a mirroring ape』も好きなんだけれど、私は『幽玄F』が最も好き。
だから友人と書店に行ったときにいつもおすすめしていたんだけど、ふと、『幽玄F』これは単体で読んでも素晴らしい小説だけど、やっぱり前作を踏まえて読んだ方が、
天才パイロットが無双していく話なのにどこか不気味さを感じたり、
主人公が表社会から消えようとしているのに消えない期待感。
佐藤究の小説を知っているからこそ楽しめる面が多分にある気がするので、四番目の登場となりました。
感想はこちらにも書いています。ぜひ合わせてお読みください。
佐藤究おすすめ小説3選『テスカトリポカ』『Ank: a mirroring ape』『幽玄F』 | ひのとみ書店
⑤サージウスの死神
▼あらすじ
God does not play dice
頭蓋の中に数字を飼い、紅玉髄(サージウス)を皮膚の下にもつ男。回転盤(ルーレット)が魂の旋律を刻む。男が地面に激突する直前、俺はそいつと目を合わせた。そのときから俺の頭の中に<数字>が住み着いた。ある日を境に、ルーレットへのめり込んでいく男。狂気の果てにたどり着いた場所「REPTILE」。<破壊と疾走>新鋭作家の放つハイブロウ小説。6
佐藤究さんのデビュー作。
このころはまだ純文学を書いておられたようで、少し作品のテイストが異なります。
ギャンブル、特にルーレットに才能を持つ男の話。
ビルのオフィスでデスクに貼りついて働きながら、少しずつ現実に侵蝕されていく。現実に過去を食われ、現在を食われ、未来を食われる。魂はカネを稼ぎながらゆるやかに腐っていく。
佐藤究『サージウスの死神』講談社2020年6頁
とはいえ、働く社会人として読むとまた違った味があります。
働き続ける毎日が、あることをきっかけに、おかしな方向へと変わっていく。
それが望んだ方角なのかは実際に読んで確かめてみてください。
⑥トライロバレット
▼あらすじ
新たなアメコミ的ヒーローが出現? 超能力の代わりに使う武器とは? 乱歩賞・直木賞作家が挑む、書下ろしダークファンタジー小説!
バーナム・クロネッカーはアメリカ合衆国ユタ州のウィットロー高校に通う17歳の少年。彼は8歳のとき三葉虫に魅せられ、今ではその化石を熱心に集めつつ、静かな高校生活を送っている。そんなバーナムへのいやがらせが、ある日突然にはじまった。ロッカーの扉を接着され、頭にジャガイモをぶつけられる。体育会系の人気者コール・アボットのしわざだった。バーナムは、コールの行為を〈攻撃〉と呼ぶ謎めいた同級生、タキオ・グリーンと友人になる。そのときすでに、バーナムを驚愕の事件へといざなう運命の歯車は回りだしていた……。現代アメリカ社会の闇に光を当てながら、新しいヒーロー像を描きだす超絶エンターテインメント。7
2026年6月現在の最新刊にあたります。
ハードカバーはなく、気づいたら文庫にて刊行されていました。
2024年12月刊行が最後ということで、次はハードカバーで大長編がきてくれるんじゃないかと待機中です。
アメリカのいじめられっ子がヒーローとなるまでの話。
佐藤究さんの小説はハリウッド映画のような雰囲気を持つものも多いけれど、舞台を日本以外にうつしてこれだけ面白く描ける作家さんはそう多くないと思います。
おわりに
佐藤究さんの作品が大好きで、
定期的に読み直しています。
文庫になったら文庫を買ってまた読んでいます。
なぜこんなにも惹かれるのか、そこに自分を知るヒントがあるような気がして怖いです。
みなさんもぜひ佐藤究さんの世界を楽しんでください。



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