Netflix『地獄に堕ちるわよ』あらすじ・感想

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雑記

毎日をご機嫌に生きたい―そんな私の小さな人生など吹き飛ぶほどの衝撃

細木数子の半生を描いたNetflixオリジナルドラマ『地獄に堕ちるわよ』を見た。

私はリアルタイムの細木数子をよく知りません。

テレビで見たことはあったように思うけど、あまり覚えていません。占い師ということくらい。娘のかおりさんがテレビに出ているのをたまに見るくらい。

だから、私たちは『地獄に堕ちるわよ』を昭和~平成にかけての大河ドラマとして見れる。

戦後の混乱期、高度経済成長期、そしてバブル経済とその崩壊。

平成に生まれた私たちには別の世界の物語がそこにはあります。

うらやましいとは簡単に言いません、が、

それでも今にはない熱狂があった時代だと、私は思っています。

あのころは異常だったと評する声も聞きます。そんな渦の中に私たちはもう入れないのだとしても、覗いてみるくらいは楽しみとさせてほしい。

『地獄に堕ちるわよ』は、若い世代にこそおすすめのドラマです。

あらすじ

▼あらすじ
「大殺界」「地獄に堕ちるわよ!」の強烈ワードで一世を風靡(ふうび)した占い師・細木数子。テレビや出版界を席巻する一方、霊感商法や裏社会とのつながりをささやかれた彼女の素顔とは。

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細木数子は占い師なのか

みなさんは占いにどんなイメージがありますか?

私は占いにはあまり縁がなく、朝の情報番組で星座占いを見るくらい。それも最下位だと変に気にしてしまうので、あえて見ないようにしていました。

それでも二年前に友人と買い物へ出かけた時、手相を見てもらったことがあります。

初めての衝撃というか、占いはエンターテインメントだと、その時思いました。

自分の人生がどうなるのか、自分の性格がどうなのか、分からないことを教えてもらえることが、言い当ててもらえることがこんなにも快感だと知ったのはその時です。

緊張と興奮で手汗が止まらず、ライトを当てられた手が変に光っていたのを覚えています。

反対にそのときに占われた内容はほとんど忘れてしまいましたが。

そもそも私、占いとは、ほとんどが詐欺だと思っていました。

夏木志朋『Nの逸脱』に出てくる占い師Bには霊視ができるという占い師が登場しますがちょうどこのイメージです。実際には霊視などせず、相手の言葉や容姿、たたずまいをよく観察することで予測をする。

占い師とは、相手が欲している言葉をいかに見抜くのか、観察眼が勝負の商売だと思っていました。

でも実際に自分が占ってもらった時、詐欺で構わないから、自分が望んでいることを言い当ててほしい、そう思ったんですね。

将来のことなんて誰にも分かるわけがない。自分がどうすればいいかなんて自分で決めるしかない。

そんなこと初めから分かっている。分かっているかこそ、誰かに自分の気持ちを言い当ててほしい、それで合っているよと背中を押してほしい。自分は間違っていないと認めてほしい。

それが嘘であろうと構わない。だってどうせ誰にも分かりようがないんだから。

細木数子は、たぶん占い師ではない。それは皆うすうす気づいていたのでは?

相手が求めることが何なのか、それを天才的に見抜く。そして、お金を稼ぐ。

「私の人生は面白いわよ」と細木数子は言う。

「あなた、地獄に堕ちるわよ」言葉選びの妙

細木数子は人生に何度も地獄を味わっている。

まずは幼少期、戦後の混乱期に経験した飢え。そして騙すものではなく騙されるものが悪いという教訓。そして、銀座にお店を3つも出したのちナイトクラブの一件で中島歩1に騙される。銀座で成功した自分を狙った詐欺に合い多額の借金を背負う。そして母の死。

島倉千代子の一件では、あげくのはてに(内縁の)夫を寝取られる。このあたりは事実はどうかも怪しいが、とにかく何度も人生のどん底を味わっている。

正直私は彼女のような地獄も天国も一切味わっていない、ある意味で平和な、または平坦な人生を送っている。

もちろん悲しいことや悔しいことの一つくらいあったが、細木数子の人生を前にすればたちまち掻き消えて見えなくなるくらいの傷しか負ってこなかった。

そんな地獄を実際に見てきた彼女が「あなた、地獄に堕ちるわよ」と言う。

「このままだと、自殺することになる」とも言う。

自殺にまで追い込まれた経験がある人がなぜ?と作家の魚澄美乃里が感じたのも無理はない。

半分は、自分が地獄のような思いをした時の経験からくる忠告であり、

もう半分は、テレビの前の視聴者を喜ばせるための言葉であった。

だが、地獄を見てきたからといって、他人の地獄を言い当てる権利があるのかは分からない。説得力、あるのだろうか?

大声を出して怒鳴ったり、きつい暴言をあびせたりするのは、あくまで人を自分に従わせるための手段でしかない。

細木数子は、自分の言動の「効果」を理解したうえでテレビでの振る舞いを作っていた。

あのころはよかった熱狂の時代

ドラマの中で細木数子が自分の人生を語る時

「あのころは時代もよかったのよ」「時代が悪かったのね」

など「時代」について言及することがあった。

そうは言うものの細木数子自身は、自分の成功を時代のおかげとは思っていなかったはず。

時代への言及がむしろ、時代の流れもあったけれど、結局は自分の才能ひとつでやってきたとする細木数子の自信の表れのように感じます。

生まれる時代が違っても、きっと彼女ならのし上がってくるだろうと思わせるだけの人物である。

それでも実際に戦前から高度経済成長期、バブル経済へと進んでいく中で、大きな時代の変化がいくつもある。

まさに激動と呼んで遜色のない時代。

なにより「今日よりも明日がもっとよくなる」と確信し生きるというのが私たちにはあまりなじみがありません。

Netflixはこういう時代の描き方がとてもうまい。若い人をとりこにする。

というよりもテーマの選び方が上手なのかもしれない。『全裸監督』や『極悪女王』も昭和の話だ。

何者でもない主人公が、才能や努力でのし上がっていくドラマというのは今もよくある。

ただそれが最も似合うのがこの戦後~昭和の時代である。

主人公の成長に時代の追い風が加わることで、かけ合わさって勢いが全く違うものになる。

それに憧れて何が悪い?

みんながみんな時代とともに狂っていた、そんな時代に私も生きてみたい。

右肩上がりに成長していく気配があって、どんどん新しい建物が建って、おかしいようにお金が稼げて、日本が世界を買い漁っていたころ。

もちろん、それが表面的で一部の人だけのものだったことも知っている。

だけど私たちはドラマの中でしかそういう世界に生きることはできない。

悪いことをした人には地獄が待っている?

細木数子が島倉千代子を助けた時

―細木は島倉を自殺から救い、借金からも救ったと証言した―

私は単純に細木数子をかっこいいと思った。

地獄にいる人を、これから死のうとしている人を一人救ったのだ。

お金も権力もあるというのは、つまり、人が救える、ということである。

人を助けるためにお金と力を持つことを望むのは悪いことではない、お金持ちからもなく何もできない人よりよっぽど立派ではないか。

ドラマはこのあたりから真偽が分からなくなってくる。

自伝的ドラマだし、細木数子本人は既に他界しており、娘のかおりさんにも許可は取っていないという。ドラマの冒頭には、事実をもとにした虚構であると述べられる。

一番上まで上り詰めてしまえば、あとは落ちるだけなのだと、人は言う。

まずそもそも何が上で何が下なのか、それは誰にも分からないはずであり、それは細木数子にとっての上が何であったのかも私たちは知りようがない。

細木数子が何を目指していたのか、占い師になった目的は何だったのか、本人の口から語られることはない。

このドラマを見て細木数子をどういう人物として理解するかは視聴者に委ねらる。

人を騙してでも、陥れてでも、ただ金儲けがしたかっただけの悪女であると捉えることも、ただ戦後の混乱期から必死に生きてお金を稼ぐために努力を続けた苦労人であると捉えることもできる。

「私、占いなんて信じないの」

そう言い切った細木数子は、最後のシーンで愛犬のティアラもいなくなり、一人になる。

欲しいものはすべて手に入れた、後悔なんてしていない、地獄なんて怖くない。

悪いことをした人には地獄が待っている。大衆はそう思いたがる。

黒革の手帳の原口元子だって、手帳を使って散々悪事を重ねたあと最後には逮捕される。

細木数子の「地獄に堕ちるわよ」という歯に衣着せぬ発言だって、華やかな世界にいる芸能人に向けられるからこそ、大衆に受け入れられたのではないのか。

最終的にスキャンダルが出たことでテレビ番組は降板することになる。

しかし、その後もお金を占い業を続け、お金を稼ぎ続けたことが明かされてからドラマは終わる。

何もしないでただ祈るだけの弱者をあざ笑うかのように自分の欲望をつかみ取っていく細木数子の生き方は、悔しいが間違ってるとは思えないのである。

欲しいものは全て手に入れる人生

大殺界というのも細木数子が作った言葉なのだそう。

ちなみに私は今ちょうど大殺界です。だからと言って何かあるわけではありません。

いや、最近が営業の仕事が嫌になって異動させてもらいました。これが大殺界と言えばそうなのかもしれません。

このような嫌なことや辛いことなんて生きていれば年に一度はあるものです。

占いを信じるか信じないかは自分次第。自分の都合の良いように聞いていればいい。

このドラマが言いたいのはそんな占いの話じゃなくて、細木数子の生き様の話です。

何度も何度も地獄から這い上がる。凡人には一生かかっても稼げないようなお金を稼ぐためには、リスクを取る必要があります。

自分のつまらない人生には、リスクを取ることで、細木数子のような人生になる可能性だけは少なくともある。やらないだけだ。もちろんリスクを取ったとしても成功するかどうかは分からない。

人生何を主軸に置くかだ。

一生をかけてでも欲しいものがあるのなら、それを取りに行く人生もあるということ。

覚えておきたいですね。

『地獄に堕ちるわよ』まだ見ていない方はぜひNetflixで見てみてくださいね。

  1. 最近よくドラマなどでお見かけします。大河ドラマ「豊臣兄弟」での浅井長政役を見てからだったので、いい人なのかと思ってみていたらめっちゃ詐欺師で驚きました。 ↩︎

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