前回に引き続き、『かわいそうだね?』より
第二篇目「亜美ちゃんは美人」をご紹介します。
こちらの短編もなかなか刺激があって面白い・・・
出版年は10年以上前ですが、全然色褪せませんね・・・
著者とあらすじ
▼著者 1984年京都府生まれ。
「インストール」で第38回文藝賞を受賞しデビュー。
「蹴りたい背中」で第130回芥川賞を
史上最年少・19歳で受賞する。
他著書に『夢を与える』『勝手に震えてろ』がある
▼あらすじ さかきちゃんは美人。でも、亜美ちゃんはもっと美人。高校時代に出会った二人。大学、社会人、と年を経ていくなかでさかきちゃんは常に複雑な思いで「自分より美人の親友」を見つめ続ける。そして亜美ちゃんが「初めて本気で人を好きになった」と連れてきた結婚相手は――。女性同士ならではの一筋縄ではいかない友情を描く。
あなたがその友達と一緒にいる理由
自分よりも美人な親友と一緒にいるメリットはなんだろうか。
そもそも親友というのはメリットデメリットで語られる存在ではない、はずなのだが、
高校生のころの主人公はこのあたり非常に打算的である。
誰もがうらやむ美人である亜美ちゃんは、女友達ができにくいタイプである、という点には合点がいく。
美人の友人とは隣にいるだけで見比べられてしまうし、内面も素直でいい子なのだとしたら余計に一緒にいてつらいだろう。
だから、高校生のころから亜美ちゃんの親友として一緒に行動をしているさかきちゃんは、とても稀有な存在である、と本書の中で分析する登場人物がいる。
さかきちゃんは最初、一緒にいて得をするから亜美ちゃんと一緒にいることにした。
でも彼女は、一緒にいて得をしなくなってからも亜美ちゃんから離れない。
それはなぜなのか、
読み進めると分かるようで分からない。
友人との関係性は他人からみて分かるものではない。
特に彼女たちの関係性が長ければ長いほど複雑になっていく。
なぜ私と彼女は友達でいれたのか
ぼくは彼女が彼女の特殊な外見ゆえに築いてきた、築かざるを得なかった内面が好きだったんです。
綿矢りさ『かわいそうだね?』文春文庫2013年235頁
亜美ちゃんは、人知れず静かに歪んでいった。
美人で性格も良くて、という人にありがちなのかもしれないけど、
主人公はそんな彼女の歪みにやっと気づいたことで、亜美ちゃんの結婚を祝福することに決める。
亜美ちゃんの結婚相手は、今までステキな人と何人も交際していた亜美ちゃんの彼氏だとは信じられないくらい絶望的な相手だ。結婚生活もひどいものになるだろうと誰もが思う。
そんな相手との結婚を反対しない親友はいないだろう。
だから、私は主人公があえて、その選択を取っているのだろうと思った。
美人の親友でいたことで苦労したことはたくさんある。
いまこそ復讐の時、じゃないけれど、友人として好きではなかった亜美ちゃんが苦しむ姿を見ることのできるチャンスがこの手にきた、と思ったのではないか。
でもそんなに単純じゃなかった。
主人公の心の中は複雑で、亜美ちゃんの結婚を祝福する主人公に裏はないように思える。
裏はないように思えるのに、この不安が消えないのはなぜなんだろう。
私の亜美1
この言葉にはどんな意味が込められているのだろう。
分からなすぎて
とりあえず落ち着こうと思います。
- 綿矢りさ『かわいそうだね?』文春文庫2013年255頁 ↩︎



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