【ブラック企業で働く人へ】ごみも捨てられないなんて、冷静に考えたらおかしいぞ『死んだら永遠に休めます』遠坂八重著

いま売りたい本

みなさんこんにちは!

今回もお仕事小説シリーズから『死んだら永遠に休めます』という小説をご紹介します。

店頭に並んでいる時から強烈なインパクトを放っていた本書。仕事につかれて書店によった際につい手に取ってしまいました。

死んだら永遠に休めるけど、死んじゃだめですよ…

私は電車通勤なので、朝の通勤時間に人身事故で遅延していることも最近は本当に多くて…まあ飛び込みだけではないんでしょうけど…

少し悲しい話から入りましたが、死にたいほど仕事がしんどい、やめたい、行きたくない、と思いながら出社している人は少なくないはず。私も営業時代はずっとそうでした。

これは私たちと同じように仕事に行きたくない、つらい、しんどいという思いをかかえながら仕事へ向かう主人公の話です。

いまの仕事がしんどい人ブラック企業に勤めている人、仕事が忙しすぎてワークライフバランスが崩壊してる人、ぜひ読んでみてほしいです。

ほんのりネタバレありなのでご注意ください☆

死んだら永遠に休めます [ 遠坂八重 ]
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パワハラ上司が失踪した!お前はもう二度と戻ってくんな!

本書の主人公は、青瀬というブラック企業に勤めて6年目の女性社員

この青瀬、本の表紙を見れば分かるように、残業続きで常に疲れている限界である。月から金、昼休憩もなく日付が変わるまで働いて(あれ?いつご飯食べてる?)、休日出勤もするが仕事が終わらない。加えて前川というパワハラ上司までセットときている。

かなり追いつめられた青瀬だが改善策は思いつかない

「このまま生きる」か「死ぬか」

彼女にはこの二者択一しか存在しないそうだ。

そんな時、パワハラ上司前川が失踪する。

さらにこの上司が厄介なことに容疑者は部下の中にいる!とか何とか言ってしまうせいで、青瀬達部下は身の潔白を証明するために、二度ともとってきてほしくない上司失踪の謎を解くことを強いられるのであった…

ふんだりけったりだね、まったく

これぞ社畜!ゴミ捨て場にゴミを捨てるのは無理だけど出社はできるんです。

そう、本書は意外とミステリーの様相を呈している。仕事ができないと思っていた部下の仁菜ちゃん、彼女が意外と頭が回る、ちょっとした探偵のように謎を整理していくのだ。

しかし、パワハラ上司失踪のミステリーとして読んでいると、はっとした時に青瀬の社畜度が露見するのだ。

青瀬たちは上司失踪の容疑者だから、当然刑事さんから事情聴取をされる、その時に刑事さんがど正論を言っていてびっくりした。

「ゴミ捨て場って青瀬さんのアパートから十メートルも離れていない場所にありますよね。そこにごみを捨て行く気力すらないほどに心身不調だったのに、片道一時間近くかかる職場へは毎日休まず通勤することができていたんですよね1

つまりこうだ、一時間かけて通勤はできていたのに、なぜ家の中のゴミをゴミ捨て場へ持っていくことができなかったんですか?と刑事さんは聞いている。

この質問には私が代わりに答えよう

そういうものなんです!と。

仕事が忙しすぎる時、家に帰ってからはほんとに何にもできない。疲れちゃってお風呂に入れればいい方というくらい何をするにも気力がわかないのだ!

そんな状態で、家の中のゴミを集めて指定の袋に入れて、指定の曜日にゴミ捨て場へもっていくなど、どうしてできようか。ということです。

でもこれっておかしいですよね

仕事が好きで働いているのならともかくとして、そういうわけでもなく、ゴミを家の中にためておきたいのでもないのなら、捨てたらいいんです。ゴミを。

もっというとゴミを捨てられないくらいなら、そんな仕事やめたらどうですか?

刑事さんはこういいたいんですね。

でも社畜は会社を辞められないんです。

どうしてでしょうか

先ほど言っていましたね、なぜなら「このまま生きる」か「死ぬか」しか選択肢がないからなんです。

そもそも会社をやめるという選択肢を持っていないということですね。

それでもたぶん、青瀬の友達だったら会社やめたらって言うと思う。

小説として青瀬の働き方を見てると、もうやめたら?そんな会社、体がもたないよ、と言ってあげたくなる。

他社では通用しない、と本人には言われそうだけど、正直、青瀬であっても(最後まで読むとこの言い方になる)他に働ける会社はいくらでもあると本気で思う。

だけど、当事者からすると、そう簡単に会社を辞められない気持ちはすごくよく理解できる。

転職して今よりもっと悪い会社にあたったらどうしよう

他社では通用しないんじゃないか

とか今の状況も十分ひどいのに、変化を恐れるというかまともに考えられなくなる感じ

青瀬は今回すっごく強烈な展開だったけど、やめることができてよかったんじゃないかな。

最後にこの小説は入社する前の青瀬を書いて終わります。

会社に勤めている自分だけが自分じゃない、いろんな自分があるのだから、社畜のまま社畜でいる必要はないんだと、そう思えるほんの少しだけ明るいラストでした。

まあ、最後がほんとに強烈だったから、それにかき消されてほとんど残らなかった気もするんだけど…

ということで

本来であればここで記事は終了ですが…

今回は特別に追加でラストシーンに触れたネタバレ記事を書いています!

いやほんと書き足りなくて…

ネタバレNGの人はぜひ最後まで本書を読んでから見に来てください。

私がこの本を推す理由は最後の展開にあります。ここまで心を揺さぶる小説に出会えることはそうありませんね。

では、そちらもお楽しみに~

ぜひ読んでみてね~

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  1. 遠坂八重『死んだら永遠に休めます』朝日新聞出版2025年 167頁 ↩︎

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